小惑星探査機「はやぶさ」

小惑星探査機「はやぶさ」なるものが、現在飛行中らしい。
こいつは、すげぇ。

小惑星の中に、イトカワと呼ばれる小惑星がある。地球のちょっと内側、火星のちょっと外側を楕円で、ぐるぐる太陽の周りを回る、600mx300mのちっぽけな岩である。
この小惑星イトカワを探査するために、探査機「はやぶさ」は2003年5月9日に地球を飛び立った
探査機「はやぶさ」は、今までの探査機とは一味違った能力を持っている

能力その1 イオンエンジン
今まで、宇宙空間を飛ぶためのエンジンは、ロケットエンジンであった。中には化学反応を利用したエンジンもあったかもしれないが、ほとんどが、何かを燃やしてそのガスの勢いで飛んでいた。探査機「はやぶさ」ではイオンエンジンが採用されている。こいつは電気の力でイオンを飛ばすという仕組みで飛んでいる。もちろん、打ち上げに関してはロケットエンジンを使っているが、宇宙空間内を飛ぶためのエンジンを、イオンエンジンという最新技術のエンジンを採用したのだ。ロケットエンジンに比べて燃費が非常にいい(効率がいい)ことがわかっている。しかし、高度な技術を必要とするために、なかなか実用化されていなかった。この高度なイオンエンジンを3基、同時に使って航行し、ちゃんとコントロールして、すぐにぶっ壊れることなく、ちゃんと目的地にたどり着く。そして、ちゃんと帰ってくる。片道20億kmの長旅である。途中でぶっ壊れても、修理工場は無い。
そして、現在、ちゃんと目的地にたどり着いている。

能力その2 自立航行
現在、「はやぶさ」は、地球から3億キロ離れた場所にいる。地球から電波を飛ばしても、到達するまでに17分かかるほどの距離である。この場合、ラジコンのように操作することはできない。探査機のセンサー(カメラなど)の情報を見て、もうちょっと右よぉ。なんてやっても、探査機からセンサの情報を地球まで届けるのに17分。もうちょっと右よぉって言うのに17分。あわせて34分もかかるのである。探査機が、もうすぐぶつかるでぇ。って言って、地球から避けてくれぇ。って言っても34分後に避け始めたのでは、既に激突してる。これを防ぐために、地球に問い合わせると同時に自分で判断して、危険を避けなければならない。それが自立航行である。
何か問題があった場合には、自分で回避して、差し迫った危機を回避し、こんなことなってもたんですけど、どないしましょ?って地球に問い合わせるわけです。非常に知的にできてる。

能力その3 サンプル回収
「はやぶさ」は、現地に行って写真を撮ってくるだけではない。現地に着陸して、地面をちょっとだけかじって持って帰ってくる。

能力その4 地球までサンプルを帰ってくる
今までの惑星探査は、ほとんどの場合、行ったら行きっぱなしである。飛んでいって、通り過ぎるすれ違いざまに写真を撮るか、周回軌道でぐるぐる回って探査するか、そのまま着陸(激突?)するかのどれかであった。サンプルを採取しても、採取した場所で解析を行っておしまいだった。探査機「はやぶさ」は、行って、サンプルをもって帰ってくる。

探査機「はやぶさ」は、2003年5月に地球を飛び立ち、イオンエンジンを稼動させ、ちゃんとコントロールし、途中、地球でスイングバイ(地球の重力を使って、探査機の速度と方向を変えること)を行い、2005年8月29日、イオンエンジンの往路を完走した。途中、7月末から8月にかけて、カメラで目的地の小惑星「イトカワ」をキャッチ。どれくらいずれているかを判断し、軌道補正も行っている。
そして、9月12日には、小惑星「イトカワ」から約20キロ離れた地点に停止。観測を行った。
9月30日には、7キロの地点まで近づき、再び観測。この観測を元に、どこに着地してサンプルを採集するのかが検討された。
11月4日には、着地のリハーサル。3.5キロの地点から、700メートルの地点まで降下したが、ちょっとずれちゃったので、中止。おっとっと。という感じで、ちょっと離れたところまで戻る。

詳しい状況は「宇宙ニュース記事一覧」と「Hayabusa Live」というBlog。

何が凄いってね。もちろん、小惑星を探査することも凄いですよ。でも、それ以上に凄いのは、地球から20億キロかけて飛んでいって、たかだか東京タワーの倍くらいの大きさのところに、ぴったりと到着すること。そして、そこで、探査機がちたちたいろいろ探査していることですよ。探査機は、まさに探査機の格好をしているわけですけど、ある意味、ロボットですわ。ぶっちゃけて言えば、アトムが小惑星まで飛んでいって、「地球、地球、応答願います。現在こんな状況なんですけど、どうしましょう?」ってやっているようなもんですよ。日本のロボット技術ってすげぇ。探査自体も、もちろん重要なんでしょうけど、その探査を目標として、さまざまな技術が開発されているというのが、興味深いじゃないですか。

もちろん、完璧に動いているわけじゃないですよ。いろんなものがぶっ壊れてますよ。んでも、ぶっ壊れていてもこの成果。凄いじゃないですか。

この話題。目が離せません。

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