蟹工船から小さな政府まで

先日購入した劇画「蟹工船」 小林多喜二の世界 「見えざる手」が経済を動かすを読んだ。


いや、この連チャンコンボで読んだんで、ツボにはまった。

まず、蟹工船から。

昔々、北の方の海で活躍していた、カニを取ってその場で加工して缶詰加工までやる、「蟹工船」を舞台としたお話。

ざっくり行ってしまえば、資本家が作った会社が、船に出資し、その船で働く人たちが、奴隷のように働かされている。で、あんまりにもひどくって、働く人たちが団結して反乱をおこすお話。

要するに、資本家と労働者の格差のお話ともいえる。まぁ今流行りなのは、ワーキングプアつながりで、働いても働いても我暮らし楽にならずってやつです。

で次にこれ。「見えざる手」が経済を動かすというと、アダムスミスの国富論。でも、この本はそれだけにとどまらず、お金の本質とは何か、マルクス経済学、ケインズ経済学、小さな政府についての説明がおさまっている。

蟹工船を読んだ直後に読んだものもだから、妙にツボにはまってしまった。

まず、歴史的に見れば、アダムスミスの資本主義が台頭。

純粋資本主義が行き過ぎると、そこで、蟹工船のような自体が発生する。

で、その揺り戻しとして、労働者主体の、マルクス経済学。蟹工船では、集団闘争という形で表れている。しかし、ソビエトやら東ドイツなどの例を出すまでもなく、社会主義は効率が悪すぎる。

一方、資本主義でもケインズ経済学のように、不景気好景気を、政府支出をコントロールすることで調整していこうという考えが出てきた。しかし、国債を発行して景気を良くして、税収を上げても、国債がいつまでたっても減らない。

また、完全なる資本主義は暴走すると危険なため、さまざまな規制が生まれる。独占禁止法だったり、大規模出店法だったり。これはケインズ経済学に社会主義的考え方を取り入れたもの。

で、最後に小さな政府。サッチャーやレーガンに代表される、規制緩和のお話。資本主義に社会主義的考え方を交えて進んできていた社会から、できるだけ社会主義的考え方をとっぱらって、新資本主義となっていった。

日本では、中曽根時代の、国鉄やら電電公社、小泉時代の郵便局がそれ。

この新資本主義は、純粋資本主義に近い考え。ということは、蟹工船の時代と同じようなもの。

この本では出ていないが、他のBlogで読んだもので、日本国内で格差は広がっているが、全世界的に格差は狭まっているという話もある。

社会主義、資本主義のバランスに関してはひとそれぞれの思惑が絡むので、何が正しいっていうのが、読みづらい。

では、この先にあるものは。ふたたび社会主義が出てくるのか、それとも新たな考えが出てくるのか。

いやぁ、なんとなく、最近思うのは、力いっぱいリスクを取る人が結局得なんじゃないかなぁと。

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