僕のお気に入りの[梅田望夫・英語で読むITトレンド]のベンチャービジネスとスモールビジネスの大きな違いという記事を読んで考えたことをメモする。
先の記事では、成長を大きな要素ととらえる事業形態をベンチャービジネス、逆に成長を重要視しないのがスモールビジネスと定義している。
実際のところ、ベンチャービジネスとスモールビジネスの2つにばっさり分かれてしまうわけじゃないと思う。この2つの違いは成長を重要視するかしないかの2元であるが、実際には、成長の速度の違いというのは滑らかにつながっているのだと思う。
豪速で成長することを第一目標とする企業もあれば、徐々に成長することをよしとする企業もあるだろうし、ゆっくりと成長するのをベストと考える企業もあれば、ほとんど成長しないのが都合のいい企業もあるだろう。うまく衰退すればいいと考える企業があるのかどうかはちょっと例が思いつかないのでなんともわからないところである。
ひとつの企業においても、その企業の置かれている時代や、背景などさまざまな要素によって、その成長速度を変化させていると思う。創業期はがんがん成長してお金の流れの仕組みが回り始めたら速度を安定させてってなパターンは簡単に考えられる。
さて、この成長速度を決定付ける要因はなんであろうか。
実際問題、僕が、「これくらいの速度で成長したいな」と考えても、その目標が高すぎたら、実現するのは難しい。逆に、「あんまり成長したくないな」と考えても、案外「成長しないまま生きていく」というのは難しいし、まわりが勝手に成長の方向に持っていってしまうことだってある。
実は成長速度をコントロールすることって、とんでもなく難しいんじゃないのかしら。。。
さて、一方で、社員は無料で働いているわけではない。自分の時間を企業に提供し、その報酬として金銭を得る。ときには貴重な経験を得ることにより自分を成長させることが報酬になるかもしれない。
豪速の成長を見せる企業で、多くの時間と労力を提供し、ストックオプションと巨大な報酬を目指すのもひとつの社員であるし、逆に、定時で帰って自己啓蒙のために学校に通っているのもひとつの社員である。金銭的な見返り以外にも、多くのことを得られる企業はたくさんある。蕎麦屋で修行させてもらっている店員は、給料にはあまり興味なく、蕎麦打ちの修行をさせてもらえればそれでいいのかもしれない。
社員にとっては、その企業の成長の速度が自分にあっているかどうかがとても重要になるのであろう。
成長の早い社員にとって、企業の成長が遅い場合は、社員にとってその企業は魅力無いかもしれない。逆に成長の遅い社員にとって、企業の成長が早すぎる場合は、負担になりかねない。おいてけぼりを食ってしまって疎外感を感じるかもしれないし、そんな負荷には耐えられないとなってしまうかもしれない。
問題は、企業が一定の速度で成長することが難しい点にある。
スモールビジネスというのは、オーナーにとってはいいが、社員にとってはそれほど面白みがない。急成長させての株式公開や企業売却がないなら、株を少しもらったって仕方ない。「成長を希求しない」とは言っても、オーナーには自由とそこそこの利益とクオリティ・オブ・ライフが残るが、社員はいつまでたってもただの社員だ。
オーナーには自由とそこそこの利益とクオリティ・オブ・ライフを残すために、リスクをとっている。
逆に社員が取っているリスクと利益はなんであろうか。
自分が本来なら経験できていることを経験できないでいることによる、将来の利益の損失というリスク?
このリスクって、結局、自分の成長の速度をコントロールできないということに話がもどっていってしまうんでは無いだろうか。
成長速度をコントロールすることは、とっても難しいが、とっても重要なことである。
従業員だろうが、オーナーだろうが、成長速度はなんとかしてコントロールする努力をせにゃいかんってことだな。