お金があっても手に入らないもの

毎度切れ味さわやかな、「切込隊長Blog(ブログ)」の記事、お金があっても手に入らないものを読んだ。非常に学ぶべきところがいっぱい詰まった文章である。


というか、学ぶとっかかりを示してくれる文章である。

いまの日本経済は資産バブル状態にあって、市場から資金を調達する組織が有利な状況が続いている。

まずはこの一節。
なんとなくぼんやりとこの状況は感じていたのだが、この文章を見て、はっきりと意識することができた。
そこに次の一節。

誰が見ても幼稚な組織で運営されている銘柄への大規模な投資を行ったのは、当の投資家たちだったのだから。

世の中、実は金が余っているので、その余った金が行き場所を探しているように見える。
そして、この記事において一番興味を引かれた一節は以下の部分である。

バランスシートを見て直間比率がどうだとか負債比率が下がったとか見る方法や損益計算書でその期の利益がどうなのかを調べるよりも、財務的キャッシュフローを重視し時価総額と流動性資金の変動だけ見たほうが理に適うタイプの経営

切込隊長氏も「壮大な自転車操業」という言葉を使っているが、まさにその通りである。
実はこの「自転車操業」。成長するにあたって非常に有効な手段なのである。
そして、この「自転車操業」をうまく回していくためのキーが、

未来収益のもっとも重要な変数は企業の実力ではなく、実は社会で流通する信用の総量だからだ。

という文章。この「信用」こそが、「自転車操業」を回していく上での非常に重要なポイントなのである。
具体的な話を書いてみる。
日本の土地バブルの時代。土地に対しての「信用」が高かった。
土地を担保にお金を借りる。そのお金で土地を買う。増えた土地が値上がりするという期待からお金を借りる、そのお金で土地を買う。
最初の土地は、最初の「信用」である。その「信用」を元手にお金を借りて、新たな土地すなわち「新たな信用」を手に入れる。そして、新たに増えた土地「新たな信用」を元手に次の土地「次の信用」を手に入れる。
信用が続いている限り、この自転車操業はうまく行く。そしてその信用が揺らいだとき、このバブルは弾ける。
銀行口座には「信用」がある。
誰かが100万円預ける。この人がすぐにお金をおろさないという信用から、100万円のうち90万円を誰かに貸し出す。借りた人はどっかに支払いをする。この支払われたお金は銀行に預けられる。
誰かが90万円預けたことになる。この人がすぐにお金をおろさないという信用から、90万円のうち81万円を誰かに貸し出す。借りた人はどっかに支払いをする。この支払われたお金は銀行に預けられる。
これを繰り返すと、銀行は100万円の預金から、すんげぇ金額を貸すことができる。これも一種の信用の自転車操業。
この連鎖のうちどっかがパンクするかもしれないという信用の低下が100万円のうち90万円貸し出していたのを80万円に減らしたりすることによりコントロールされるし、ほとんどの人が借りた金を返さないとなれば、銀行はあっというまにパンクする。
ITバブルの時代。IT技術に対しての「信用」が高かった。
IT技術やアイデアを元手に資金を集める。そのお金で技術やアイデアを具体化する。具体化されたり、実際に商品化されることにより「信用」が増す。それをきっかけに新たな投資を集める。新たな投資を使ってより具体化したりよりよい商品化を目指す。そして、再び「信用」が増える。
ここでも同様に信用が続いている限り、この自転車操業はうまくいく。そしてその信用が揺らいだときにバブルは弾ける。
ある人が企業に就職する。この企業がちゃんと給料を払ってくれるという「信用」に基づいてである。
給料を払ってくれるという信用があるからこそ、働くわけだし、給料が増えるかもしれないという信用が一生懸命働く原動力になるかもしれない。
この「信用」というのはとても奇妙なものである。
土地の例でもIT技術の例でも、実際に収益を上げたという事実が必要なのではない。収益を上げるかもしれないという期待というか予想というかが重要なのである。これが信用である。
銀行の例でも同じである。この人がお金をちゃんと返すかどうかってのが信用。その信用の裏づけのために担保を取ったりするわけである。
実体と信用は乖離していても問題は無い。乖離しすぎて信用が揺らぐことが問題であり、乖離しすぎても実体には問題は無い。(まぁ連鎖的に実体も飛ぶことがあるけど。)
大体この実体というのも怪しいものである。
土地の値段が坪いくらですよってなのも、今近所の値段がそうだからってだけで、実際に今売ったらいくらで売れるかなんてわかったもんじゃない。たまたまどーしても欲しい人がいて、高く買ってくれるかもしれないし、欲しい人が見つからなくて、安くてもええから買ってくれってことになっちゃうかもしれない。
企業の収益だって、同じ。去年はこれだけ利益が出たけど、今年も同じように利益が出るなんて誰も知らない。去年の利益を元に今年の利益を予想してるだけ。逆に去年赤字でも今年すんげぇ利益になることを予想するかもしれない。
また信用というものは以前の信用の上に構築されていくものなので、そのあたりもやっかいなところである。
なんとなく、自転車操業って悪くないかも。って思った。
ただ気になるのは、自転車操業するのに疲れたときに、どうやって、自転車の速度を緩めるのかってことである。
自転車から飛び降りて逃げちゃうってのが一番楽なんだけどね。
まぁ逃げちゃったらその時点で信用はなくなるな。

ロスチャイルドの権勢史を支えた情報資本主義

まったくわからん単語が出てきたので、今後のお勉強のテーマのひとつとしてメモ。。。

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