聴取無線電話私設許可書

先日、日本へおでかけした際、妻の実家にも行ってきた。

その際、妻が過去の書類を整理したらしく、おもしろいものが出てきた。「聽取無線電話私設許可書」

妻の父がアマチュア無線をやっていたのを知っていたので、最初、これって無線の局免じゃね? でもコールサインが無いんだけどなんだろう。と思ってた。でも日付が昭和14年。妻の父にしては古すぎる。名前を見ると、妻のじいちゃんの名前。じいちゃんもアマチュア無線? でも昭和14年にアマチュア無線なんてあったっけ?

とりあえず、スキャンだけしてこっちに帰ってきてから、調査。

昔は、ラジオを受信するのにも、逓信省(かつて日本に存在した郵便や通信を管轄する中央官庁)の施設許可が必要であったらしい。日本放送協会(今のNHK)とラジオ放送の受信契約を結ぶと、逓信省からこの許可書が送られてきたらしい。

昭和14年1月16日ということで、西暦1939年。妻のじいちゃん、ラジオ買ったのね。

聽取無線電話私設許可書

機器裝置場所 神戸市湊區———

施設者——–

昭和14年1月16日出願ニ係ル聽取無線電話私設ノ件許可ス
施設者ハ無線電信法及放送用私設無線電話規則竝之ニ基ク命令ヲ遵守スヘシ

昭和拾四年壹月廿七日
大阪遞信局長

裏面注意

注意事項

一、本許可書ハ常ニ機器裝置場所ニ保管シ、受信機ヲ携帶使用スルトキハ必ス之ヲ携行セラルヘキコト
二、當局檢査吏員ノ要求アルトキハ本許可書ヲ呈示セラルヘキコト
三、本許可書ヲ亡失シタルトキハ保證人連署ニテ速ニ其ノ再度交付ヲ申請セラルヘキコト
四、機器裝置場所(携帶使用ノモノハ其ノ保管場所)ヲ變更シ又ハ施設者ノ氏名ヲ改メタルトキハ五日以内ニ本許可書ヲ添ヘ新舊機器裝置場所(携帶使用ノモノハ其ノ保管場所)又ハ新舊氏名ヲ記載シタル變更届書ヲ當局ニ差出サルヘキコト
五、受信機ノ種類及個數又ハ施設者ノ住所ヲ變更シタルトキハ五日以内ニ新舊受信機ノ種類及個數又ハ新舊住所ヲ記載シタル變更届書ヲ當局ニ差出サルヘキコト
六、施設者名義ヲ變更セントスルトキハ新舊名義人ノ連署シタル願書ニ本許可書ヲ添ヘ當局ニ差出シ許可ヲ受ケラルヘキコト
七、機器裝置場所(携帶使用ノモノハ其ノ保管場所)又ハ住所ノ變更届ヲ爲ササルコト六ケ月以上ニ及フトキハ本許可ハ其ノ効力ヲ失フヘキコト
八、本施設ヲ廢止シタルトキハ速ニ空中線、受信機等ノ裝置全部ヲ撤去シ五日以内ニ本許可書ヲ添ヘ廢止届ヲ當局ニ差出サルヘキコト
九、受信機ハ空中線ヨリ電波ヲ發射セサルモノニシテ特ニ許可ヲ受ケタル場合ヲ除クノ外受信機ハ五百五十「キロサイクル」(五百四十五「メートル」)及至千五百「キロサイクル」(二百「メートル」)ノ範圍内ノ周波數(波長)ニ限リ受信シ得ルモノナルコト
十、空中線裝置ハ電信、電話、電燈又ハ電力ノ線路ニ接近セス且人畜又ハ物件ニ危害ヲ及ホス虞ナキモノナルコト
十一、設置裝置ハ引火ノ虞ナキモノナルコト
十二、本施設ニ關シ當局ヘ照會等ノ場合ハ許可番號又ハ施設者氏名及機器裝置場所ヲ明示セラルヘキコト

漢字が合ってるかどうか怪しいので、間違いを見つけた人は教えてください。旧字って打つのめんどくさい。。。

高校のときに古文習ったけどさ、「セラルヘキコト」って。。。。

ということで、現代文訳

聴取無線電話(ラジオ)私設許可書

機器装置場所 神戸市湊区——

施設者——

昭和14年1月16日出願された聴取無線電話(ラジオ)私設の件を許可する
施設者は無線電信法および放送用施設無線電話規則にもとづく命令を尊守しなければならない

昭和14年1月17日
大阪逓信局長

  1. 本許可書は常に機器装置場所に保管し、受信機を携帯使用するときは必ずこれを携行すること
  2. 当局検査吏員の要求があるときは本許可書を呈示すること
  3. 本許可書を紛失したときは保証人の署名とともに速やかにその再交付を申請すること
  4. 機器装置場所(携帯使用のものはその保管場所)を変更したり、施設者の氏名を変更するときは5日以内に本許可書を添え新機器装置場所(携帯使用のものはその保管場所)または新氏名を記載した変更届書を当局に差出すこと
  5. 受信機の種類及び個数又は施設者の住所を変更したときは5日以内に新受信機の種類及び個数または新住所を記載した変更届書を当局に差出すこと
  6. 施設者名義を変更しようとするときは新名義人の署名のある願書に本許可書を添え、当局に差出し許可を受けること
  7. 機器装置場所(携帯使用のものはその保管場所)または住所の変更届を提出せずに6ヶ月以上過ぎると本許可はその効力を失なう
  8. 本施設を廃止するときは速やかに空中線(アンテナ)、受信機などの装置全部を撤去し5日以内に本許可書を添え廃止届を当局に差出すこと
  9. 受信機は空中線(アンテナ)から電波を発射しないものであり特に許可を受けた場合を除いて受信機は550kHz(545m)から1500kHz(200m)の範囲の周波数(波長)に限り受信できるものでなければならない
  10. 空中線(アンテナ)装置は電信、電話、電灯または電力の線(電線)に接近したり、人畜または物件に危害をおよぼすことがあってはならない
  11. 設置装置は引火しないこと
  12. 本施設に関して当局へ紹介などの場合は許可番号または施設者氏名および機器装置場所を知らせること

どっちにしても読みにくい文章だな。

「聴取無線電話私設許可書」への1件のフィードバック

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください