プログラマのキャリアの日本とアメリカ(その3)

前回はカテゴリが存在するのかもしれないし、存在しないのかもしれないみたいな曖昧なことを書いた。んじゃ、このカテゴリが存在するとして、どうやってステップアップするかだ。


先の階層を見てみると、必ずしも上の階層が下の階層の上位スキルというわけではなさそうである。
ベーシックプログラマの優秀な奴がビジネスアナリストになれるわけではないし、ビジネスアナリストの優秀なやつがプロジェクトマネージャーになれるわけではない。
これらは、ぜんぜん別個のスキルを必要としていると思う。
アーキテクトはビジネスを生み出すビジョンをテクノロジーからの展望で示す能力。
リサーチャーは研究者としての能力。
コンサルタントは顧客の潜在需要を探索する能力。
プロジェクトマネージャーはメンバーのモチベーションを保ちつつ進捗の調整を行う能力。
などなどである。
極端な話をしてしまえば、1.アーキテクトから、5.ビジネスアナリストまで6.ベーシックプログラマのスキルが無くてもなることができると思う。実際、プログラミングのスキルがない人でもやっていると思う。
もちろん、プログラミングのスキルがあったほうが、上の階層をやる際に有利ではあるが、そこから上は完全に別個のスキルだと思う。
ということで、一般的には、6.ベーシックプログラマの経験を積んで、1から5までのカテゴリの中から自分の目指すところを選ぶんだと思う。そしてそのカテゴリの最高年俸を目指すのではないだろうか。
さて、ここで、日本の製造業に目を向けてみる。
日本の製造業は既に中国や東南アジアにオフショアが進んでいると聞いている。
6.ベーシックプログラマに対応するのが、町工場の親父たちになるんだと思う。単純加工業がどんどん海外に移転してしまい、日本国内の単純加工業は減っているのである。
でも無くなったわけじゃない。彼らはどうやって生き残っているのかというと、職人技として他では真似できない、海外では真似できない加工技術をもって、今でも日本国内で営んでいるわけである。実際、彼らの技術なくしては日本の製造業は成り立たないと思う。
5.ビジネスアナリストが、製造業における、図面を引いて加工の発注を出す設計士に対応するのだと思うが、町工場の親父はスキルを積んで設計の仕事を請け負うなんてことはあまりやっていないのではないか、という点も興味深い。
ちょっとした製造業の大企業に新卒でエンジニアとして就職した場合、その企業では、おそらく設計の仕事が最初の仕事だと思う。大企業のオフィスに加工用の機材は置いていない。
そこで、設計の仕事を何年か過ごした後、プロジェクトマネージャーやら、コンサルタントやら、リサーチャーやらにステップアップするのである。
ここで疑問なのだが、特殊技術を持つ町工場の親父は、一般的な設計士より年収が多いかどうかである。
僕としては特殊技術なんだから、一般的な設計士よりも年収は多くていいはずであると思っているのだが、実際どうなんだろう。
彼らは特殊技術を身につけるために2.リサーチャーの仕事をこなしたはずである。でも5.ビジネスアナリストや4.プロジェクトマネージャーの仕事ができるようになろうとは思わなかった理由は何か。つまんねぇからじゃないかと思うのだが。。。
製造業とソフトウエア産業とでは違うのだから、この考察はおかしいのかもしれないが、視点としては面白いのではないだろうか。
以前にも書いたかもしれないけど、アメリカで、特にベイエリアでスタートアップが多いのには理由があります。
スタートアップに社会が優しい
というのもありますが、
若い人が諦めているから
ってのもあると思います。
スタートアップに会社が優しいってのは、周りにスタートアップがいっぱいいるから、自分が新たにスタートアップになっても、別にどってことないってことです。周りが普通にストックオプションを持ってて、「あぁまた紙切れになっちゃったよ。」とか「俺って、こんなにいっぱい紙切れ持ってんだぜ。」とか雑談で出てくるくらい、スタートアップが普通ってことです。
企業は経験重視です。実力主義ってのは経験重視ってことと同義語です。
若い人には経験がありません。経験を積むために働かないといけないのに、働くためには経験が必要だという、鶏が先か卵が先かの話です。
やっとの思いで、就職しても、アメリカ企業は、社員教育に熱心ではないですから、長年働いてりゃ勝手にステップアップしてくってことは無いです。6.ベーシックプログラマで採用されて、数年経ったから、そろそろ奴に、ビジネスアナリストの仕事でもやらせてみようかなんて、話は(少なくともおらの周りでは)聞いたことないです。給料そのままで他の仕事やらせるのは契約上おかしなことになりますから、どうなんでしょう。
そうゆう意味では、将来が見えています。レイオフの恐怖に怯えながらという条件付で。。
日本では6.ベーシックプログラマの給料で、まぁ勉強だからやってみろ、みたいな感じで、5.ビジネスアナリストの仕事をやらされているわけです。んで、5.ビジネスアナリストとしてものになりそうだったら、昇給されるって感じかな?
んじゃ、アメリカではどうやってステップアップするのか。
非常に難しい質問です。
転職でも経験がないですから、大きくステップアップは難しいでしょう。
んじゃ、どうするか。
会社作っちまうことですわ。
会社作っちまえば、自分の好きなことができます。というか全部やる羽目になります。
んで、一発あたればラッキー。だめでも経験は積んでます。
若い人にとっては、経験を積むための賢明な選択だったりするわけです。
さて。
先ほどの階層で、2.リサーチャーと6.ベーシックプログラマが海外に移転していくと考えられています。要するに底辺が海外にいっちゃうんです。
てぇとどうなるか。
日本の製造業みたいに、5.ビジネスアナリストの教育が進んでいき、新卒の登竜門は設計からになるのか。
それとも、底辺がなくなっちゃって、一層ステップアップが難しいから、スタートアップが乱立するか。
この文章を書きながら、
つまんねぇ仕事してたくさん金もらってもつまらんよなぁ。。。
どーせだったら、楽しいほうがいいよなぁ。。。
てなことを考えてます。

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