手取り2万円は憲法違反 富士火災社員が仮処分申請

手取り2万円は憲法違反 富士火災社員が仮処分申請
という記事を読んだ。

営業成績によって増減する給与制度で、6月の手取り額が約2万2000円となった富士火災海上保険(東京)の男性社員(52)が15日、生存権を定めた憲法に違反するなどとして、3―5月の平均給与約21万9000円などの支払いを求める仮処分を東京地裁に申し立てた。

Hatena::Diary::naoya産経新聞の成果主義手取り2万円という記事を見てへのトラックバック。

額面では11万5000円でてるんだけど、所得税などが控除されて、さっぴかれて、(01/02/07修正)約2万2000円しか支給されなかったという話らしい。しかし、いろいろWebを巡回してみても、どこも同じような文章の報道しか出てなくて詳細がよくわからん。まぁWebに出ている文章だけから想像して、僕が思うところを書く。

富士火災海上保険株式会社のホームページを見てみると、資本金も400億以上、従業員数も6000人以上の大企業。リクルート情報のページの先、PA社員、Professional Adviser制度を見ると給与体系の概略が見れる。安定性と高収入というページにおいては、この給与体系の例が示されている。これを見る限り、業績給は青天井のようである。月給19万5000円~40万円+業績給と書かれているがこの月給が何をさしているのか不明。研修期間が過ぎるとなにやら形態が変わるようなので、この当たりの詳しい状況もよくわからない。

さて、東京都の最低賃金は時間給で700円台。まぁ計算しやすいように800円とする。11万5000円を800円で割ると、143.75時間。1日8時間として18日弱。実際にこの人がどれくらい働いたのか知らないけど、6月の給料ってことは5月の労働に対して支払われるので、5月はゴールデンウィークがあって、お休みも多いことですし、まぁ最低ラインは超えているのではと。

んで、2万2000円になっちゃったってことは、9万3000円ほと税金やら保険でさっぴかれちゃったわけですな。3-5月は平均して21万9000円支給されてたってことは、これが手取りの金額か、ここから9万3000円程度やっぱりさっぴかれるのか知りませんが、9万3000円もさっぴかれるってことは、前の年なり以前に、それなりもらっていたんでしょう。

まちの八百屋さんとか蕎麦屋さんとかみたいな個人商店だけでなく、フリーランスで働いている人なんかも、今月の収入が少ないから、憲法の生存権に違反するなんていわないよなぁ。少ないときもあるかわりに、青天井という条件だから、夢をもって働いているんじゃないかな。逆にそうゆう状況が向いてないのなら、そうゆう仕事に変わるべきだと思うし。

憲法の生存権が脅かされているのなら、この人が行かなきゃいけない先は、裁判所じゃなくて、職業安定所だったり、生活保護の手続きするところなんじゃないだろうか。

某知り合いの営業職の人なのだが、以前働いていた企業での新製品が怪しい、これは売れそうに無い、競合他社の新製品の方が売れそうだ。となれば、さくっと競合会社へ転職してる。んで、歩合制で稼ぎまくってる。そうゆう意味では、社員に働き続けてもらうために、企業の方が、それなりの給料を払うだけじゃなく、それなりの売るものを提供しなければならない。別に社員は会社に恩義があるわけじゃないから、会社に見切りをつけたら、競合に行ってしまう。あそこより、たくさん稼げるからこっちおいでぇって誘ってる企業なんていっぱいある。んで、一旦辞めた会社でも、たくさん給料を払ってくれたり、いい商品があるならば、すぐに戻ってくる。あっさりしたものである。

成果主義という名目の賃金カット手段と言われることもあるが、もしそうならば、社員はその会社にしがみつく義務はないのだから、もっと条件のいいところに移動するか、自分で商売を始めるべきだ。

日本全体が成果主義という名目で賃金カットをしているならば、その賃金よりも高い給料を支払う企業に人が流れる。もし、そのような企業がなければ、自営業に人が流れる。一般企業に入社してもろくな稼ぎにならないから、起業が多く発生するという事例もあるわけだし。

逆に、賃金カットをしなければならない企業が、無理に賃金を保ち続けようとすれば、いずれパンクして、どちらにしても、その企業から給料はもらえなくなる。

給料もらえなくても、その会社のために働きますって言い出したら、そりゃ慈善事業か奴隷だな。

これは別に企業の問題だけじゃなくて、業界でも同じ。この業界は儲からないなとわかれば、違う業界にうつるだけの話だ。土建業が儲からなくなってIT産業が儲かっているなら、土建業からIT産業に人が流れる。IT産業に人が流れればIT産業が儲からなくなる。そうやって資本主義はバランスを取っていくんだと思う。

同様に、漁業や農業が儲からなくて、サービス業が儲かるなら、そっちに人が流れるべきで、今いる業種を保護しなくては、ってのは、公務員の仕事だ。

2chでの議論がおもしろい。

歩合制と成果主義の違い
お金を稼ぐとお金を作るの違い
安定と青天井
資本主義と共産主義

この保険会社はこの裁判で
お金に困っているイメージ
無駄なお金を使わない健全なイメージ
のどちらが広まるのかなぁ。

「手取り2万円は憲法違反 富士火災社員が仮処分申請」への8件のフィードバック

  1. はじめまして。リンクされてるはてなダイアリーからまいりました。数字をもとに議論されているのは、他のブログと異なり、説得的な印象を受けました。
    ただ、一つお尋ねしたいのですが、
    > さて、東京都の最低賃金は時間給で700円台。まぁ計算しやすいように800円とする。11万5000円を800円で割ると、143.75時間。1日8時間として18日弱。実際にこの人がどれくらい働いたのか知らないけど、6月の給料ってことは5月の労働に対して支払われるので、5月はゴールデンウィークがあって、お休みも多いことですし、まぁ最低ラインは超えているのではと。
    と書かれていらっしゃる分についてです。最低賃金は、額面ではなく手取りで計算するとばかり思っていたのですが、御説のように額面で計算するのが正しいのでしょうか。検索したところ、「労働者に支払う額」と定義してあるところがほとんどでしたが、はっきり額面なのか手取りなのかはわかりませんでしたので、お伺いする次第です。

  2. >まちの八百屋さんとか蕎麦屋さんとかみたいな個人商店だけでなく、フリーランスで働いている人なんかも、今月の収入が少ないから、憲法の生存権に違反するなんていわないよなぁ。
    これって単に雇用主が自分だから言わないって事じゃないのかな。 言う場所が無いじゃないですか、裁判所行って自分で自分を訴える訳にもいかないし。
    んで誰か雇うなら最低賃金払いなさいって事で、よくないのかな? そいでもって最低賃金払えないなら辞めて頂くとか。 要は、安すぎる賃金で働かせてはいけませんよって事だと理解してました。 

  3. meroさんへ
    はじめまして。コメントありがとうございます。
    うーん。手取りか支給かはあんまり深く考えなかったけど、、、やっぱり支給なんじゃないかなぁ。
    だって、年末調整ってあるわけだし。
    この人だって年末調整である程度戻ってくるわけでしょ?戻ってこないのかな?
    年末調整を含めた源泉徴収の仕組みと、歩合制とのルールの間にできたギャップに見事突っ込んだという感じの事例だと思います。
    やっぱり専門家に聞いたほうがいいかも。
    爆弾親父さんへ>
    支給ならば最低賃金は超えてるので、別に問題ないんですよ。雇用契約なんてものは、これでいいですか?はいこれでいいですって言う契約だから、(法律上問題の無い)契約をしておいて、あとからそれじゃたらねぇって文句言うのは変だと思うんですよ。

  4. はじめまして。
    この件に関して、私が最近読んだ意見で、最も好感の持てるものでしたので、お邪魔させていただきます。
    >この人だって年末調整である程度戻ってくるわけでしょ?戻ってこないのかな?
    私の知る限りでは、彼らは確定申告にて納税しているはずですので、年末調整とは、無縁かと思われます。
    この件に関しては、私は週刊ポスト、AERA以外の雑誌への掲載は存知ませんが。。。
    AERAのほうが、頁数は少ないですが、彼らの給与体系に関してキチンと調べて記事にしているという印象をうけました。
    それと。。。
    >実際にこの人がどれくらい働いたのか知らないけど、6月の給料ってことは5月の労働に対して支払われるので
    どうやら、この方の6月分の給与というのは、純粋に5月に働いたぶん、ではなく、前年度基準の増加手当て(?)の、4・5月給与分を上乗せされたものらしいのです。
    要するに、前年度の業績(成績?)がよかった人は、6月の給与に4・5月にもらえるはずだった増加手当てが入り、通常の月よりも給与が増える、と。
    しかし、この方は、前年度の業績が悪かったため、会社が過払いした給与を6月分からひかれた。。。ということのようです。
    この方の言い分としては、一度支払われたものを返すという形をとることは、おかしい、と。。。
    そのほかにもいろいろと意見は書かれておりましたが、↑この部分に関しては、???という感が否めません。
    私も彼らの給与体系を詳しく勉強したわけではありませんので、何が正しい、ということは言いかねますが、「変だな。。。」と思った記事でしたので、興味深く、一筆とらせていただきました。
    大変お邪魔いたしました。

  5. ん?確定申告してても源泉徴収されてるなら年末調整あるんじゃない?ないのかな?
    ベースアップ分の4月5月分が6月で調整されるように、ベースダウン分も6月で調整したら、給料なくなっちゃったって話ですかねぇ。これ、6月調整でマイナスになったらどうするんでしょうねぇ。
    どっちにしても後だしじゃんけんの感じが。。。

  6. ありがとうございます。確かに控除の使い方、間違っていましたので、修正させていただきました。
    これからもいろいろ教えてください。

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