シリコンバレーの給与水準

On Off and Beyondで、シリコンバレーの給与水準(http://www.chikawatanabe.com/blog/2006/03/post_4.html)という記事があった。
おいら、ちょっとショック受けてたりして。。。まわり、そんなにもらってるのか。。。

  • 新卒
    • 学士:  $65,000-70,000 (800 – 850万円)
    • 修士:  $70,000-80,000 (850 – 950万円)
    • 博士:  $80,000-90,000 (950 – 1100万円)
  • 一般
    • 普通のエンジニア(staff engineer):  $90,000 – 120,000 (1100万円 – 1500万円)
    • シニアマネージャ/シニアエンジニア:  $120,000 – 150,000 (1500万円 – 1800万円)
    • ディレクター/シニアプリンシパルエンジニア: $150,000-220,000 (1800万円 – 2700万円)

学部卒で、$65kもらったとして、12で割ると、$5.4k。税金とか保険とかを単純に30%として(実際30%ちょっと超えるくらいかな)手取りで$3.8k。
このエリアで一人暮らしすれば、社宅なんて気の利いたもんないですし、家賃が月にまぁ$1.2kとか$1.5kとかですかねぇ。毎日食費に$40使えば、x30で$1200。通勤手当なんて無いですから、自動車通勤したとして、まぁ月に3回ガソリン入れて$100。んで、電気代とか電話代とかどんぶりで$200としましょ。トータルで大体$3kくらいかな。
実際、服買ったりとか、遊びに行ったりとかするだろうし。。。ちょっと食費高すぎる気がするけど。。。日本食くいたくて、日本食スーパー通ったり、日本食レストラン通ったらすぐにこれくらいいっちゃうし。消費税も8.25%とかそんなもんだし。

ついでのことを言えば、一応、ソーシャルセキュリティてな年金はあるけど、どっかの国民年金と一緒でさてどうなることやら、ってことなんで、401kとかやったりして、せこせこ貯金したりして。当然、いつFire(クビ)になるかわらかんので、仕事探す間、生きていけるように多少の貯金は欲しいし。通勤に車を使うってことは、車の保険払ったり、ローン払ったりもせにゃならん。
あと、こっちのやつらは大学通うのにローンを組んでたりするので、それを返済したりしてるな。

ということで、実は$65kって楽に一人暮らしが生活するのには最低ラインだったりするんですね。$60kを割ると、自炊きっちりして、会社にお弁当持ってきて、など、結構、節約生活が始まったりします。

感覚としては、$1=¥100で換算した方がいいかもです。まぁ確かに、$1=¥120で換算すればあのお値段ですが、実際、日本で働いている人からすれば、税金高いし、保険も高いし、物価は高いし、福利厚生は(日本から考えると)ぜんぜんひどかったりするし、とーぜん、交通費とか住宅手当とかややこしいのは無いので、ぜ~んぶひっくるめての金額だしってんで、$1=¥100で換算した方が感覚的にあってると思います。

このテーブルを見て面白いのは、学士->修士の差が、大体$10k。修士->博士でも、博士->普通のエンジニアも、やっぱり$10kづつ差がついているということ。
2~3年で$10kあがって、学部から普通のエンジニアになるのに6~7年ってことですかね。まぁぶっちゃけて言って2~3年で$10kもあがるわけがなくて、2~3年毎に転職を繰り返して給与と経験を引き上げていくんですけどね。

日本で学部卒で6~7年企業で働いてたら、大体20歳後半、30歳前。こっちのやつらは、学部卒業して2~3年就職してから修士に行ったりするので、もうちょっと歳いってます。
まぁこのへん、自分で学費を貯めて学校に行くので、途中資金を貯める必要がある分、ちょっと卒業が遅くなるわけですわ。

学部を卒業して、就職してみると、周りは修士卒でいい給料をもらってる。おいらもそんなんになりたいなぁということで、退職して修士に行って卒業して、再び就職。周りをみると博士卒でいい給料をもらってる。おいらもそんなんになりたいなぁということで、再び博士に。もちろん、修士、博士のコースをやってる最中も、学校で働いてみたり、単発の仕事をしてみたり。なぁんてことをやってると30歳中盤で博士の新卒が出来上がります。
ということで、新卒のくせに、結構、社会経験があるんです。転職経験も豊富だし。当然、目の前にでっかいニンジンがぶらさがった状態で学校通ってますから気合も違います。
んで、ちょっと根性の座った人だと、ほいっとダブルメジャーとかをこなしてくれます。要するに、ふたつの分野で博士とか、コンピュータサイエンスで修士、物理学で博士とかね。

もうひとつ、忘れちゃいけないのが、学位としての修士、博士のレベル。なんとなぁくの感触だけど、こっちの学部卒って、日本でいうところの専門学校卒と同じ感覚です。同様にこっちの修士卒が日本の学部卒。こっちのDr卒が、日本の修士卒と同じ感じ。日本だと理系の学部卒なら、まぁ少なくとも卒業研究と卒業論文やってるけど、こっちのやつらの卒論ってゆるい気がします。日本の修士卒なら普通、学会のひとつやふたつで発表もして、論文の一本も書いてると思うけど、こっちの修士でそんな人、聞いたこと無いです。(僕が聞いたこと無いだけなのかも。)

まぁその分、こっちの連中は、やっぱり修士卒とかだと、先の話とかあって、実務経験が多いんですよ。経験豊富で、知識もあればそりゃ、そのぶん金取れます。

てな話をしたあとに、「普通のエンジニア」という言葉の定義を考えてみると、日本で言うところの「普通のエンジニア」となんとなく、定義が違う気がします。日本で言うところの「普通のエンジニア」の定義を良く知らないのであれですけどね。
別の見方をすると、日本で「普通のエンジニア」なんてなることは可能なの?という疑問も沸いてくるわけで、日本で大卒で企業に就職して30歳前後で普通のエンジニアですか?と聞かれて、自信を持って「はい」って答えるエンジニアってどれくらいいるのかよく知らないです。日本で30前後だったらSEと呼ばれる半分マネージャみたいな仕事なんじゃないかしら。
先のテーブルには「シニアマネージャ」という欄があるのに、「マネージャ」という欄が無いところもミソ。マネージャだから給料がいいわけじゃないんです。中には工数管理しかしないマネージャなんかもいて、そうゆうマネージャとかだと、部下(と言っていいのかどうか)のエンジニアの方が高給取りだったりすることもあって、それこそ、芸能人のマネージャみたいな扱いのところもあります。

そんなこんな言っても、やっぱり俺より稼ぐ人は、俺より死ぬほど頭が良くて、死ぬほど働いて、死ぬほどアウトプットが多いです。単純に、すげぇ~って思える人がまわりに結構いたりします。

そんなこんなのエンジニアですが、やっぱりいい玉はいつでも企業は欲しいもんで、取り合いです。Googleがいい例ですけど、IPOしてキャッシュが手元にあれば、バンバン高額エンジニアを雇い入れます。ぶっこ抜かれた側の企業も、エンジニアなしでは回っていきませんので、次の人を高額で雇わざるを得なくなる。そんなこんなで、現在のあのテーブルです。
逆に、景気が悪くなってくれば、さくっと解雇してくれます。それこそ、金曜日の朝に上司がやってきて、荷物まとめろ、月曜日から来なくていいよ、インドに開発を回すように会社の方針が変わったから、の世界です。
ひでぇ話になると、金曜日に解雇されたポジションに、月曜日には違う人がやってきて、聞いてみると減給するともめるから、解雇して違う人を安く雇ったみたいなことも、無いとはいえない世界です。
まさに、ハイリスクハイリターン。

ITバブルのときには、よく「医者、弁護士、エンジニア」と言ったものです。日本みたいにエンジニアにデスマーチの悲壮感もオタクの陰湿感もありません。

逆に同僚との話で、日本のエンジニアは給料が安いんだよってな、話になると、説明するのが非常に面倒です。彼らにしてみれば、ハイテク日本を支えてるのはエンジニアなのに、なんで給料安いの?ってな素朴な疑問はごもっともで、それをまっとうに答えるための答えって無いんですよね。結局、年功序列と言って話がにごっちゃうんだけど。

ネガティブな話ついでに、もうちょっとネガティブな話。
日本人エンジニアがアメリカで働くにあたって厄介なのが、ビザの問題。一般的にエンジニアの場合は、H1bという短期労働ビザで入国します。こいつは、企業が申請します。ということで、就職が決まらないとビザの申請ができない。逆に、その企業から解雇されちゃったり、その企業が潰れちゃったりしたら、そのビザは終了。日本にかえらねばなりません。まぁ実際、そうゆう状態になったら、あわてて次の企業を探すわけですけどね。
んで、H1bは上限6年(いろいろ例外があるので、細かいことは専門家に聞いてください。)ということで、このH1bの6年の間に、永住権を申請して6年縛りを抜かなくてはいけません。まぁこの永住権の申請があほみたいに、何年もかかるわけですわ。この永住権も企業がスポンサーになることが多い。と、やっぱりその企業から解雇されたり、その企業が潰れちゃったりしたら、永住権の申請も途中でぱぁ。もちろん、永住権なんてものは、政治の都合でいくらでもゆるくなったり、厳しくなったりするので、それこそ毎年法律が変わるくらい非常にややこしい。(ので、普通、移民弁護士にお願いします。)ということで、この永住権も大きなギャンブルになるわけです。
逆に、企業にしてみれば、ビザの問題がある社員は安い給料でも辞めない(辞められない)のを知っているので、足元をみられることも。。。

それ以外にも、英語ができないばっかりに、へんな給料だったりとか、しばらく日本に帰らなかったら、いつの間にか、日本の運転免許証が失効してたりとか、実家に里帰りが海外旅行になっちゃって非常に金と時間がかかるとか、親に「アメリカに転職するから」と言って目をまんまるにされるとか、今までの日本での友達なり人脈がばっさり役にたたなくなっちまったとか。日本では無職なんで、日本に帰ってもクレジットカードが作れないとか。いろんな意味で浦島太郎になっちゃうとか。年取ってから日本に帰りたくなっても、日本で就職できるのか不安とか。老後がどうなるのか、皆目検討がつかんとか。

そんなこんなで、いろいろリスキーなアメリカ就職です。(笑)

なぁんて、いろいろネガティブなことも書きましたが、ぶっちゃけて言って、このへんのネガティブな話は、気にすれば気になるけど、ど~でもいいことばかりで、やっぱり青天井の給料は魅力だし、天気はいいし、花粉症は症状が出ないし(僕の場合)。
$200kの仕事を5年やったら、一億円ですよ、いちおくえん。(まぁ$1Mの仕事1年でも一億円ですけど。。。)先の話なんて細かいこと、細かいこと。

おいらも、日本からこっちに転職するときは、ど~すんのよ。って不安がいっぱいでしたよ。不安なのは最初だけで、ど~せすぐに慣れちゃうわけだし。逆に、そんな不安が味わえるのって、楽しいですよ。結構、ど~にかなるもんですし、これからも、ど~にかなっていくんだと思います。(無責任)

それにしても、おいらの給料は安いことを再確認。。。。まぁ面白いことやってっからいいんだけどね。。面白いことできて、たくさんくれる企業様募集中。。。

おまけ
実はエンジニア。ポジションによっては英語がへっぽこでもなんとかなることが多い。というのは、エンジニアにはE-Mailという便利な味方がいるわけですよ。E-Mailだと辞書をひきひき、議論もできる。会ってみたら会話がかみ合わないなんてことは結構あることで。日本でも、メールだと非常にしっかりした人柄なんだけど、会議で顔をあわせたら、非常に内気でぜんぜん話さない人っているじゃないですか。あんな感じ。
議論はE-Mail、会議ではホワイトボードをぶんどって、絵(図)と単語を並べて説明、で、おいらのアウトプットはソースコードだぁ!エンジニアの仕事なんてどうにかなっちゃうものです。エンジニア用語なんてほとんど一緒なんだし。
もちろん、$100k、$200kを目指す人はそんなんじゃ駄目ですけどね。そんなことは、そのときになってから考えればいいこと。ど~せ、一生ネイティブみたいに話せるようにはならないんだし。。。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください