IT技術者は数学が必要かどうか

最近、IT業界人が数学を必要とするかどうかという話題が出てる。

この手の話は昔から何度も繰り返されているけれども僕の中での答えは、数学は必須ではない。である。

IT業界って、特にソフトウエア業界って、ソフトウエアの知識だけで食っていくのはなかなかしんどい。というのは、ソフトウエアで解決したい問題は、コンピュータの問題以外の分野だからだ。

業務の問題を解決したり、娯楽の問題を解決したり、コンピュータとは別の分野の問題を解決するためにソフトウエアが使われる。

例えば、業務の問題を解決するのであれば、業務自体を理解していないと問題自体がわからない。また、問題の解決手段もいろいろな手法があって、その手法を理解できないとその手法を使うことができない。で最後にその手法をどのようにソフトウエアに落とし込むのか、で、落とし込んだソフトウエアをどのように実現するのか、の最後の部分でようやくソフトウエアの知識が必要とされる。

問題解決手段の一つに数学があるだけだ。数学以外にもいろんな問題解決手段があるけど、数学が一番簡単なんだよ。手段としては。

本来ならばITに携わる人は、これらの上から下まで全部理解している必要がある。ただ、一人の人が全部を深く理解するのは現実的ではない。で、分業になっている。

問題自体を洗い出す専業の人もいれば、問題から解決手段を見つけ出す専業の人もいるし、その問題解決手段をソフトウエアの落とし込む人もいれば、そのソフトウエアをどのように実現するのかを考える人もいる。最後に実際に実現する人もいる。

実際に実現する人といってもソフトを書くことだけじゃなくて、テストする専門もいれば出来上がったソフトを使いやすくするために操作方法を解説するドキュメントを用意したり、販促したり。極端な話、社内ITを整備して開発環境を用意する専門の人たちもいるかもしれない。

全部ITに携わる人たちだ。

これらの人たち全員に数学の知識が必要かといえば、俺は必要ないと思う。

それよりも、「問題を理解して、解決方法を見つけ出し、解決方法を実現して、それを他人に説明する」って根っこのスキルが大事だと思っている。

この根っこのスキルって、理系の大学を出ていると、一応の最低ラインは超えていることが多いと思う。このへんの訓練って文系の大学だとできない人が多いんだよね。まぁ、人それぞれ個人差があるけど。

最初の「問題を理解して」ってのと、最後の「それを他人に説明する」ってのはコミュニケーション能力と関係があるんで、理系の人だと苦手な人が多い。実は解決方法を見つけ出す作業もコミュニケーション能力が関連するんだけど、それに気づいていない人も結構いる。

とはいえ、やっぱり理系の大学いってるとそれなりに訓練させられてるんだよね。

実は数学もコミュニケーションの能力だ。

コミュニケーションというのは、双方の前提知識が一致していない場合、一致するように調整する必要がある。前提知識が一致してないと、説明が足らなくて話が通じない。

問題解決の方法が数学的手法の場合、その問題解決の方法を他人に説明する際に、どうしても数学が出てくる。理系の大学行ってる人は少なくとも高校数学くらいはできてる(という前提で話ができる)んで、背景の数学の話をすっとばして、数式一つで説明ができる。

数学がわからない人に説明する際には、別の説明方法が必要になってメンドクサイ。

これって、業務を理解してない人に、業務の問題解決手法を説明するときに、業務の説明を余分にしなくちゃならなくてメンドクサイってのと同じ話かと。

UMLを理解してないやつにUMLでプレゼンしても通じないってのの同じ。コミュニケーションの問題。

僕の場合、アメリカでソフトウエアの仕事をやってることもあって、数学って便利なのよ。数式は世界共通だから。説明が楽ちん。まぁ俺の仕事がら問題解決に、数学がよくつかわれるってのもあるし、周りもそのへんわかってるやつらばっかりだから、楽なのよね。

よくIT関連の数学として、離散数学とか線形代数とか出てくるんだけど、これは、問題解決の方法として、離散数学とか線形代数とかをよく使うから。で、これを説明するのにお互いがそのへんを理解していないと、説明が面倒なのよ。

僕にとっては、数学は、問題解決やコミュニケーションのいち手法でしかない。できた方が、問題解決やコミュニケーションの手法の幅が広がるんで便利だけど、必須ではない。

根っこにある「問題を理解して、解決方法を見つけ出し、解決方法を実現して、それを他人に説明する」がちゃんとできれば、いいんじゃね。

で、このコミュニケーションの速度が速い人、たとえば、問題を理解するのが速い人、解決方法を見つけ出すのが速い人、実現するのが速い人、説明するのが速い人ってのが能力の高い人って感じかしら。

まわりの環境や問題はどんどん変化するから。

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